英語講師歴12年のShino先生は、アメリカ英語、イギリス英語の他、シンガポール英語も弁別できる英語のスペシャリストであります。現在は、大学生向けTOEIC800点講座や大手企業の海外赴任前研修を主に担当されています。また、イタリアやフランス、スペインなど数多くの地を訪れたShino先生に「英語中級者から上級者へのレベルアップ。課題と対策。」についてインタビューさせていただきました。
さっそくですが、Shino先生が思う「英語中級者から上級者へのレベルアップ。課題と対策。」について教えてください。
はい。私が現在指導している生徒さんの多くは、中級者から上級者レベルの方が多いです。実際のレッスンで取り入れている方法をご紹介しながら、レベルアップのためのコツをお話させていただきます。
ポイントは3つ。まず「単語とイディオム」、次に「英語がわからないときの返し方」、そして「自分の意見を相手に伝える力」です。
■「単語とイディオム」
中級者の皆さんは、簡単な日常会話や旅行先でも困らない英会話術を既に習得されていると思います。しかし、上級者が使う更にワンランク上の会話となると、身につけることは非常に難しく、苦労される生徒さんは多いはずです。やはり必要に迫られないとなかなかそれ以上を目指すことが難しいと思います。だからこそ、普段の会話では登場しない単語やイディオムをインプットしていくことが重要です。
そのための教材は、なるべく先生に選んでいただく方がレベルアップには効果的です。生徒さんはつい、確実に読める心地良いレベルの教材を選びがちです。
先生が選ぶことで、今まで目にすることのなかった単語やイディオムに出会える教材を用意することができます。
ニュースや新聞記事、ゴシップ記事、SNS上の話題など、ジャンルは幅広く、そして、多くの単語やイディオムを吸収できるように工夫をしましょう。
例えばBreaking news, Japan times, News in Levelなどもいいでしょう。オンラインレッスンでは、それらに、飽きのこないようにElon MuskやJK Rowlingの自伝を取り入れることやYou tubeでお料理番組を一緒に見ることもあります。
また、個人的におすすめしたい教材は、Grammar in Useです。説明が全て英語なのである程度の英語力は必要ですが、例文も豊富にあり、イラストなどを用いて感覚を掴めるように記載されています。文法用語で解説しない点でも気に入っています。
大切なのは、なるべく教材が偏らないようにすることです。
普段出会わない単語やイディオムを幅広いジャンルから学ぶことが大切なのですね。上級者になるためには読むことが重要だということでしょうか?
私は、「話す」「聞く」「書く」「読む」の4つの技能のうち、もっとも大切なのはリーディング[読む]だと思っています。
中級者の方は、ややコミュニケーション上の不便を感じることがあっても、事足りてしまうので、得てして、「より流ちょうに」を重視しがちですが、
早口で話せる小学生と、ゆっくりでも知性的な会話の大人の違い、つまり、中級者と上級者の違いは話す内容、表現力や語彙力です。
学生から大人になるにつれて、英語を読む機会がどんどん減っていきますよね。そのためにも、読むための時間をご自身で作る必要があります。
オンライン英会話などを活用して、「話す」力を鍛えるだけでは、なかなか中級から上級レベルへ向かうことは難しいです。ですから、オンライン英会話を活用して、先生とのリーディング時間を作ってみると良いと思います。
自宅学習とオンライン英会話をうまく組み合わせて、読む時間を作ると、より効果的なのですね。25分間はどのように有効活用すればいいですか?
当然ながら、25分間では出来る範囲が限られてきます。私のレッスンでは、なるべく多くの単語やイディオムを拾うために、事前に生徒さんには読んでいただいております。もちろん、忙しく時間のない場合は、短い文章の教材に変えて、状況に応じて臨機応変に対応します。何より新しい単語やイディオムに触れることが大切ですからね。
25分間を最大限活用するとなると、ある程度のストーリーが整理されている状況でスタートするのが理想ですね。生徒さんにとっての「はじめまして」の単語やイディオムを「どういった意味なのか?」をご自身がわかる簡単な英語に置き換えて説明していただいています。難しい単語→簡単な単語に置き換えることは、中級者の皆さんにとってはやりやすい方法ですよね。
例えば、Mandatory(必須)という難しい単語をrequiredやcompulsoryなどの簡単な単語に言い換えてもらい同義語確認をします。イディオムも同様ですね。この作業は、英語で伝える練習にもなりますし、一つの単語を色んな角度[アングル]から捉えて表現する力が身に付きます。
自宅学習などで事前にインプットしたものを、より強化する形でアウトプットするので、効率よく学べると思います。上級者に向かうための必要なテクニックが隠されていますね。
そうですね。オンライン英会話で長文教材を用いる場合、1語1句英語から日本語にしていると時間が足りません。ですから、パラグラフごとに少しずつサマライズしていきます。それらを組み合わせると、最初から最後までの流れがわかりますよね。大切なのは、全体の要点を掴めているか?です。サマライズするときは、言い換えた単語も組み合わせて、すぐにアウトプットします。実際にRetellしていただくことで、正しい使い方なのかをチェックできますし、生徒さんの伝える力も養われます。
■「英語がわからないときの返し方」
次に、相手が言っている英語がわからないときの返し方についてです。
中級者の皆さんであれば、「この単語はどういった意味ですか?」や「もう一度言ってください」、「ゆっくり話してください」などは、普段から使われていると思います。
ここからもう一段上へ上級者になるための返し方としては、例えば「ここまではわかりましたが、その後がわかりません」とか「言いたいことってこういうことですか?」といった具合に相手が話している内容をまとめて、相手に投げかけます。
このように相手の言ったことをその場でサマライズして、もう一度聞き返すことができれば、上級者レベルと言えます。内容を60%ほど理解した上で会話を展開していけるといいですね。先程の「単語とイディオム」でも取り上げたサマリー力にも繋がっていきます。
ある程度の力がある中級者の皆さんでも、聞き返しはとても勇気のいることで、苦手な生徒さんは多いと思います。まずは、少しずつでも内容を纏めて相手に返す練習をしていくことで上級者レベルの会話に近づいていくのですね。
■「自分の意見を相手に伝える力」
最後は、自分の意見を伝えることについてです。
私のレッスンでは、残りの5分間で使用した教材の感想を聞くようにしています。読んで感じたことや思ったことをご自分の言葉にしていただけますか?と質問します。意見は多種多様であるはずです。
中級者レベルですと、「私も同感です」や「私もそう思います」と返しがちで、会話が途切れてしまいます。例え同じ意見であっても、表現方法を変えて伝える練習をしてみてください。確実に25分間の中の発話量を確保するために、なるべく一語でも多く話していただく工夫をしています。言葉に詰まったり、単語が思い出せなくても、伝えようとする気持ちや姿勢が何より大切です。
上級者レベルに求められる聞き返す力や伝える力は実践的な方法で繰り返し練習していくといいのですね。上級者レベルに近付くためにはネイティブの先生も活用するといいでしょうか?
そうですね。ネイティブの先生と日本人講師と交互に学んでいくと良いと思いますよ。やはり、同じ先生と学び続けると、人の話し方や使うフレーズ、お気に入りの単語など、先生の持つ特徴にどんどん慣れていってしまいます。
同じ内容の質問でも、聞き方が変わると答えることが難しくなることも出てくるはずです。ですから、ネイティブの先生も含めて、沢山の先生の意見や考え方に触れて、ディスカッションしてみるのはとても良いトレーニングになると思います。私の生徒さんでも、ネイティブの先生と交互に学ばれている方がいますが、違ったアプローチで伝える力や考える力が鍛えられます。
「先生、この前のネイティブの先生はこんな意見や考え方だったよ」と第三者の意見を伝える練習にもなります。私自身も様々な意見を聞くことで、新しい発見ができますね。
なるべく偏らないようにインプット・アウトプットを繰り返していくことが重要なのですね。実践に繋げるために、今すぐにでも始められることや自宅でも出来ることはありますか?
はい。読み慣れていない媒体は講師から提供することができますので、まずは生徒さんが読み慣れた興味のある、お好きな媒体を1日10分でも構いませんので、読んでみること[リーディング]から始めてください。例えば、Breaking newsであれば、記事の中にイディオムや言い換えが既に教材の中に載っていますので、ご自身で言い換えの練習ができますし、レッスン前の予習も取り組みやすいですよ。
■事務局よりコメント
上級者向けのオールイングリッシュレッスンにも対応できるShino先生は、7年間のアメリカ異文化交流を経て、英語や中国語などの様々な言語が飛び交うシンガポールの地で7年間過ごされたそうです。Shino先生のこれまでのご経験を存分に活かした上級者向けのビジネスフレーズや電話応対力を鍛えるレッスンなど、生徒さまの満足度が高い有意義な時間を提供されています。
オンライン英会話[大人の英会話倶楽部]の日本人講師:グローバルな視点を養う英語レッスンを提供するShino先生のプロフィールはこちら↓